アカデミー協会は長年のスコセッシへの借りを返した...。
そんな感じの受賞結果です。『ディパーテッド』組にとってほぼ申し分のない結果となりました。
一方、同じ大作映画でも
"黒人映画"『ドリームガールズ』は必要以上に冷遇されました。
助演女優賞、録音賞は受賞したものの、有力視されていた助演男優賞を逃し、3曲ノミネートされていた主題歌賞も総崩れという有様デス。まあ、3曲で票割れした可能性もありますし(ビヨンセが歌った『Listen』に集中していたと思うけど...)、『不都合な真実』のテーマ曲"I Need To Wake Up" は前哨戦でもいくつか受賞しているので、サプライズとまではいえないのかもしれませんが...。
メディア人気No.1だった『バベル』は作曲賞一部門のみの受賞。事実上、完敗でした。
以下、思いついたことを書き並べて見ます。
☆.『ドリームガールズ』チーム大苦戦!
ジェニファー・ハドソンは下馬評どおり受賞。
発表の瞬間、やや大げさに驚き、ビヨンセと抱き合うパフォーマンスも。ビヨンセも目を潤ませながらステージを見守るという、邪推の余地がたくさんありそーな光景でした(笑)
ハドソンはうるうるのスピーチ。まあ、まだ新人ですからね。ジェニファー・ホリデイ(オリジナルであるブロードウェイ舞台のエフィー役)もありがとう!と時間ぎりぎりに叫ぶようにしてご退場です。
やっぱり、アメリカ人はアメリカン・ドリームが大好きなんですね。
ハドソン、これからはかなり大変でしょうね。
ちなみに菊池凛子サンはノミネート発表前ちらっと映った程度。ドレスは普通だったようです。シャネルかな?ほっとした反面、ちょっと残念。変な格好してくればもっと映してもらえたのに(爆)。
いけませんね。こんなこと言っちゃ。
何がshowstashに起こったのか?主題歌賞のパフォーマンスの前、ジェニファー・ロペスが紹介者として登場。ネグリジェの出来損ないみたいな衣装でした。「何でこのワタシがビヨンセなんかの紹介をしなきゃいけないの!」といいたげで、台本棒読み状態。ところでジェニロペは最近おとなしいな〜。ゴシップで笑わせるという重要な任務を忘れてる。ケシカラン(笑)
さて、主題歌賞でのパフォーマンスに話を移します。
出演が噂されていたダイアナ・ロスはやっぱり登場せず(残念!)オリジナルメンバーによるノミネート3曲のメドレー。ハドソンの「LOVE YOU I DO 」からスタート、途中ビヨンセ様も割り込み参加します。その後、ビヨンセ様が「Listen」をご熱唱。ハドソンも一部ソロで歌いますが、クライマックスはディーバ・ビヨンセが独占。
それぞれソロ曲に絡むことであえて"Family"であることを強調します。まあ、いやらしい(笑)
ハドソンは出だし緊張がありありで音程を外しましたが、調子を掴んでからは快調。ただ、映画で聴くほどの迫力はなし。一方、ビヨンセ様は怨念を全部吐き出すかのような大熱唱。
ビヨンセVSハドソン...映画とは違って、ステージ慣れしているビヨンセの貫録勝ちでしたね。
そのあと、アニカ・ノニ・ローズやキース・ロビンソンも登場して「PATIENCE」を歌ってひと段落。
これだけパフォーマンスやらせた直後に主題歌賞の発表で3曲とも見事落選。
アカデミー協会サンも罪なことをなさるものですなあ(笑)
『ドリームガールズ』が作品賞、監督賞のノミネートにもれたのはオスカー狙いのため、撮影期間中からビヨンセを軸に派手なキャンペーンを行ったことがかえって裏目に出たためだと言われています。
ただ、それはあくまで表向きの理由で、根本的な理由はこの映画が"黒人映画"だからでしょう。
いくらハリウッド好みの大作ミュージカルでも、出演者が黒人ばかりじゃダメよ!って感じですね。
2002年度に作品賞を受賞したミュージカル映画『シカゴ』や、今回の受賞作『ディパーティド』よりずっとこちらのほうがアカデミー作品賞にふさわしい華があると思うんですけど。助演男優賞、そして主題歌賞まで落とす。ここまで冷遇せんでもよかろーにと思ってしまいましたね。
☆ やっと受賞した人、やっぱり落ちたヒト
うーん、こんなサブタイトル、季節柄よろしくありませんな〜。受験生及び保護者の皆サマ、クレームは固くお断りします(笑)
さてと、本題に入ります。
上部の映画レンタル監督賞の話題です。
プレゼンターはフランシス・フォード・コッポラ、ジョージ・ルーカスそしてスティーヴン・スピルバーグ。
それぞれ黒澤明監督に手を貸したことで知られる名匠が勢ぞろい。この3アミーゴに対抗できるのはやっぱりこのヒトしかいません。
現代アメリカ最高の映画監督マーティン・スコセッシ。6度目の正直で受賞しました!
これで他の人が受賞したらちょっとどっちらけでしたね。まあ、衣装デザイン賞のように、アン・ハサウェイ、エミリー・ブラントの『プラダを着た悪魔』コンビがプレゼンターとして登場しながら賞は『マリー・アントワネット』に、ということもありましたが。
スコセッシはサンキューを10回くらい言ったんじゃないでしょうか!例のごとく落ち着きはひとかけらもなく立て板に水のような早口スピーチ。
レオナルド・ディカプリオに「もう6年もいっしょにやっているけど、あと10〜15年いっしょにやろう!」と呼びかけます。映画ファン、もうウンザリ美しい光景ですね(笑)ディカプリオは自分のことそっちのけでスコセッシ受賞のために奔走していたという噂もあります。
また、作品賞でもプロデューサーのグレアム・キングにその演技力を絶賛されたディカプリオ。自分の受賞は逃しても、気分のいい夜になったのではないでしょうか?
スコセッシは受賞後、バックステージにいたジャック・ニコルソン(何とスキンヘッド!)とハグ。
そのニコルソンは昨年に引き続き、作品賞のプレゼンターとして登場します。
作品賞以外はやらない、とかゴネてそうですね(笑)
今年はダイアン・キートンとともにご登場です。
おトシのせいか、ややロレツが回らないキートンの作品紹介アナウンスのあと、ニコルソン様が、自身の出演作でもある『ディパーテッド』をアナウンス。
この作品、ニコルソンにいいようにかき回されたため、スコセッシおかんむりという噂もありました。
そのニコルソンも助演男優賞ノミネートを逃してしまった...。お互い内心複雑だったでしょうね。
スコセッシは、発表直後意外そうな顔をしていましたが、徐々に喜びがあふれてきたって感じでしたね。このヒト、すぐ顔に出るから(笑)
プロデューサーが受賞している姿を、舞台の袖から見守るスコセッシの姿をカメラは映し出します。ナイスショットでした!
一方、8回目のノミネートとなったピーター・オトゥール。
何かとネタにされてましたが、相変わらず顔はE.T入っていました(笑)
やはり受賞ならず...。発表直後一瞬固まってたようです。
その後、カメラが彼の表情をあえて追わなかったのは、この名優に対する敬意の表れでしょうね。
☆ 今年の主役はアル・ゴア?
チャドアフリカの誘惑のダンスは着るものノミネートされた2部門がいずれも受賞と何とも効率の良い結果となったのが『不都合な真実』
まず主題歌賞ノミネートのメリッサ・エスリッジが熱いパフォーマンスを披露。その後、環境問題に熱心なことで知られるレオナルド・ディカプリオとともにアル・ゴア元副大統領様ご登場。
「何か発表したいことがあるんじゃないですか?」とレオに何度もつっこまれたあげく、ゴアがポケットより紙を取り出し、「実はこの場をお借りして...」といいかけたところで、退場を促す音楽♪いかにも脚本どおりにやりました!って感じのベタな演出でした。(笑)
その後しばらくして、助演女優賞のプレゼンターとしてジョージ・クルーニーが登場します。その瞬間、なぜかカメラは客席のゴアがうつむく姿を映し出します。
「こんなTV上がりのスターと俺は同じ場所にいるのか!」と忸怩たる思ひだったのかと思いきや
「バックステージでニコルソンとゴアと一緒に飲んでたけど、再出馬はないみたいだよ」とひと言。
なるほど、こういうことだったのか。俺はニコルソンやゴアと対等で話せる程の大物なんだぜ!とさりげなくアピールしたクルーニーでした。(笑)これも台本にあったのかもしれませんがね。
『不都合な真実』は下馬評通り長編ドキュメンタリー賞を受賞。
プロデューサーのデイヴィス・グッゲンハイムは「この映画を作ったのはこの男に感動したからだ!」と熱く語りオスカー像をゴアに手渡します。ゴアは「地球温暖化は政治の問題ではない。倫理の問題なんだ」と映画で繰り返し語っていたことを語り、退場。ゴアさん、今宵オスカー・ナイトの主役でしたね。でも、もうちょっとダイエットしたほうがいいかな(笑)
☆ その他、もろもろ...。
・レッド・カーペットでニコール・キッドマンとナオミ・ワッツは手をつないでご登場。
同郷の親友ぶりをアピールします。ケンカしたって噂もありましたがね。
それにしてもニコール、真っ赤なドレスが映えてとってもキレイでした。
ところで、プレゼンターには元夫、トム・"ジャンプ・ザ・カウチ"クルーズをはじめ、トムの元カノ、ペネロペ・クルスもいる。また、ベン・アフレックとジェニファー・ロペス、グウィネス・パルトロウ...。
舞台裏、平穏無事にすんだのでしょうか?(笑)
・恒例となっているファースト・シーンのビデオでは、おそらくノミネート者の昼食会で撮影したと思われる各ノミニーの顔が次々と登場。『硫黄島からの手紙』のアイリス・ヤマシタさんやメイクアップ賞にノミネートされていた辻一弘さんらしき顔もありました。もちろん菊池凛子サンも登場。役柄に合わせてうなづいていただけでしたが(笑)
・司会のエレン・デジェネレスは客席で掃除機をかけるなど、庶民性をアピール。
「皆さんは受賞を夢見ているのでしょうが、私は授賞式の司会を夢見てました。
子供たちに伝えたいです。理想の高い夢はもってはいけないと」
「私は皆さんをリラックスさせたいんです。ブレイクできるかどうか決まる夜ですしね」
と笑わせます。また客席におり、ビヨンセには「Hi!」のひと言ですまし、(この日のビヨンセ、ちょっと可愛そうな感じ。がんばれ!ビヨンセ)すぐ後ろに座っていたクリント・イーストウッドのところに。クリントは「僕には脚本の売り込みはないの?さっきスコセッシにしてたじゃないか。嫉妬しちゃうな」とエロエロジジイの片鱗を覗かせます。まあ、エレンはレズを公表してますけどね(笑)そこでエレンは「あなたと写真がとりたいの」とカメラを取り出します。となりのクリント妻がカメラを受け取ろうとしたところ、「あら、私はスピルバーグに撮ってほしいわ」とその隣にいたスピ様にカメラを手渡しました。天下のスティーヴン・スピルバーグにプリクラのノリで写真を撮らせる!たいしたアマです (爆)
・昨年、亡くなった映画人を偲ぶメモリアル・コーナーでは日本の今村昌平監督やmako(マコ岩松)氏も紹介されてました。
プレゼンターはジョディ・フォスター。「私も2週間前、親友のランディ・ストーン(ジョディと昔噂になったプロデューサー)を亡くしました」とこの冷静きわまる才女にしては珍しく声をつまらせてコメント。ジョディの子供の父親と噂されていた人ですね〜。
・外国語映画賞50周年記念のメモリアルコーナーに、おフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴと並んで登場したのが渡辺謙サン!すごいですね、天下のドヌーヴと一緒なんて。ちなみにフランス人と日本人、いずれも英語が苦手なことで有名な国民です。アカデミーの嫌がらせじゃないかしらん(笑)
・科学技術賞のプレゼンター、どこのおばさんかと思ったらマギー・ギレンホール。
この人本当に地味顔ですね(笑)
・シュレックのフィオナ姫のイメージか、長編アニメ映画賞のプレゼンターはまたしてもキャメロン・ディアス。「千と千尋の神隠し」が受賞したときもこの人でした。宮崎駿サン、参加してればキャメロンからオスカーもらえたのに。そのキャメロン、顔がガイコツみたいでした。ジャスティン・ティンバーレイクとの別れの直後のための傷心?
・ケイト・ウインスレット、何か妙に落ち着いていて、オバサマの貫禄です。
隣にいた夫のサム・メンデス監督がただのヒモに見えるほど(笑)
もうひとりの"ケイト"・ブランシェットのほうは相変わらず、ハイセンスなドレスを装い、実に美しい。アルマーニかな?この人、映画の中ではそう見えないのに...。こういう人を真の女優と呼ぶのでしょうね。
・外国語映画賞は、本命の『パンズ・ラビリンス』を差し置き『善き人のためのソナタ』 へ。これは予想どおり。あまりに保守的な選考が批判の的になっている最近の外国語映画賞。どう考えても『善き人の〜』のほうがジジイ好みです(笑)ただ、この作品の受賞は納得ですけどね。
33歳のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督は飛び跳ねて大喜び。まだまだ青いのお。どうせやるならロベルト・ベニーニくらい派手にやらんかい(爆)
・名誉賞受賞のエンニオ・モリコーネ 。無言でオスカー像を突き出した姿はかなりカッコイイ。プレゼンターはクリント・イーストウッド。イタリア語を翻訳してくれました。本当にわかったのかな(笑)
・会場にいたグウィネス・パルトロウを映し出すカメラ。映し出されたそのお顔は、まるで顎の下に懐中電灯を置いているようでした。コワイよ〜。相変わらず貧乳を強調したファッション。でもこれよりマシか(笑)
・主演女優賞のプレゼンターとして登場したフィリップ・シーモア・ホフマン。去年と同じじゃないか?という疑惑がよぎる黒スーツ姿。
しかも顔赤い。酔ってんじゃないの?酔ってクイーンに接見するなんてケシカラン!
ちなみに受賞したヘレン・ミレン。最後にエリザベス女王に賛辞の言葉を述べました。
女王様は映画をご欄になり、とても気に入っているとのウワサです。
※ 追記 こういう記事をどこかで読んだのですがどうもまだご覧になってはいないというのが有力のようです。
・監督賞ノミネートのポール・グリーングラス。一番後ろの席に座ってたのでは?(正確に言うと後ろから2番目)天下の監督賞ノミネートなのに何と控えめな。嫌いだったんですが、ちょっとよろめきました(笑)
☆ 最後に
一押しの『リトル・ミス・サンシャイン』は作品賞受賞しなかったし、ダイアナ・ロスも出てこなかったし。『ドリームガールズ』は冷遇されるしで不満たらたらですが、去年や一昨年よりは楽しめました。
いつもなら、助演賞2つは最初の方で発表されるのですが、今年は美術賞からスタート。
助演女優賞は中盤あたり発表でした。注目度の高い賞は後半に固めて発表したって感じですね。視聴率対策でしょう。まあ、受賞結果が分散することをあらかじめ予想して、各作品ごとにハイライトを作ってあげようという好意的な見方もできなくもないですが。
アメリカン・ニューシネマの世代が年をとり、その影響でひと昔前の、大作至上主義のようなことがなくなり、はてしなく批評家賞に近づいているといわれているアカデミー賞。
なんといっても『イージー・ライダー』のニコルソンが作品賞プレゼンターですからね。
ところが、どっこい昔の名残はしぶとく残っている。そんなことを感じた授賞式でした。
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